この作品はめちゃめちゃ関係性の整理とか、時系列の把握に時間がかかりました。
いやぁ…おもしろかった…(達成感)
どこまで自分が整理して妄想した彼らの関係性や時系列を文字に起こせばいいのか悩んだのですが、あまり長ったらしくなると色んな意味で疲れるので、重要な部分だけかけるように頑張ります。というか、これは聞いて欲しい作品なので、聞いた人だから分かる感想みたいにかけたらいいな…ガッツリネタバレは書くけどね…
ヒロインの気持ちを考えると終始辛いんです。
ヒロインは失踪した姉として那月に接しているので、那月から求められ・頼られることも、愛の言葉もすべて、自分ではなく姉に向けられている感覚のはずなんですよね。(聞いてるこっちは最初その事実を知らないので気楽に聞けてるけど)
憧れの人から向けられる言葉が、愛がすべて空虚に通り過ぎて行ったんだろうなと思うと辛い。
それでも献身的に彼の世話をして、依存されても期待に応えて…ｳｯ…泣ける…
対して那月は全てヒロインに向けてストレートに言ってるんですよね、きっと。
セッ…中の会話にしても、ヒロインが演じる「姉」ではなく、ヒロイン本人に向けて言っているセリフだと思うんですよ。どんなに那月も目が見えない演技をしているとはいえ、この時すでに冷め切った恋人関係どころか憎悪・恐怖みたいな対象だった「姉」に対する賛辞の言葉は言わないと思うんです。それよりはやっぱり「逃がしたくない」と思っているヒロインに対して直接言ってるんじゃないかなぁと。
でもだとしたら、「綺麗」とか「女神」とか、美しい姉を持つヒロインからしてみれば、それは苦しい誉め言葉ですよね。コンプレックスがあっただろうし、ましてやそんな嬉しいはずの言葉を言ってくれている憧れの人は美しい姉の恋人で、自分はその美しい姉をただ演じているだけで…うわああああ辛い…
色々と考えた結果至ったこの作品最大の爆弾って、たぶん那月は姉のこと殺してるんじゃない？ってことです。
これは完全に想像というか、伏線を回収してつなぎ合わせてみた結果というか、ただの考えすぎなのかもですが…
まず那月が見た夢に出てくる「君と僕の仲を裂こうとする悪魔」
これたぶん姉のことですよね。
そもそも夢なんか見てないんじゃないのかというのが私の考えです。
おそらく姉は時系列的に考えて、姉が失踪扱いになった後に那月に会いに来ています。まだ私のことが好きだから警察に突き出さなかったんでしょう？とか宣ったようですが、那月的には単純に金輪際関わりたくなかったからだし、むしろ戻ってこられて本来恋に落ちるはずだったヒロインとの関係を壊されたくなかったからな訳で…
この時半狂乱になった姉が「作品を裂きだした」という那月の言葉があります。
つまり、那月の絵が置いてある場所＝アトリエに姉は来ている。
ではいつか。つきっきりで世話をしているヒロインがいないタイミングです。つまり、あの雨の降る、彼が夢を見た後ヒロインがいないと言ってヒロインを探しまくっていた時では？？
この時那月は異常な行動をとりますよね…そう、水たまりの水で手を洗います。
「絵の具の匂いがする」と言って。
そしてのちのセリフに「手から絵の具と香水の匂いが消えた」というものがあります。
絵の具の匂い、香水の匂い、これは那月が姉を殺した時に着いた匂いではないでしょうか。
例えば姉の死体を嵐の中、庭に埋めたりしたのでは。
埋め終わった後にちょうど良くヒロインが帰宅し、手に着いた匂いや嵐の中外に出ていた理由を悟られないように、ヒロインにきつく当たったり、水たまりで手を洗うなどの異常な行動をとる演技をしたのではないでしょうか…だから「もう姉は僕のもとへ戻ってこられない」という確信を得たようなセリフが言えるのでは………考えすぎ？？
でもここまで考えてゾクッとして、「この作品面白いっ!!!」と評価爆上げでした。
那月的には、ヒロインが自分の元から去らない(逃げない)という確信が持てるまで、自分の目が見えていること、手紙について知っていることを言いたくなかったのでしょうけど、その行動が自分の首を絞めた感があると思っています。
「自分が見えないからヒロインは側にいてくれる」という考え方がはびこったと思います。
逆に早く言ってしまって、ヒロインときちんと話し合えればここまで病むこともなかったのかなぁ…？まぁあくまで想像なのですが。
でもここまで献身的にされても、那月はヒロインのことを心からは信頼していないのが悲しい。
「愛しているか」と確認してくる、「逃げ出したんじゃないか」と疑う…
一度歪んだら、元には戻らないものですね。
ヒロインが「怯えた目をした」という描写があって、個人的には安心しました。普通の感覚が残っているんだな、と思って。これが物語内の二人にとって吉と出るか凶と出るかは、分かりませんが。
すれ違っている二人が悲しいのと、サスペンス要素強めで考察が楽しかったので私はこの作品大好きです。基本、大声出されるの嫌いなんですけどね、那月は許しちゃうかも。
なんでかというと、ジャケットイラストの那月の瞳が綺麗すぎて、聞く前から惚れてたのでね！！かなり肯定的に捉えてますね！！！
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